不思議な毎日~人生迷走中?

私の人生で起こった不思議なこと~不思議・雑記

第14話 和ませ上司

私が34歳の時、神戸市の企業に勤務致しました。勤務と言っても、広島から神戸まで週の初めに新幹線で向かい、週末には広島に帰って来るという、出張スタイルです。その勤務形式で約1年間勤めました。1週間の広島での研修を終え、翌週から神戸市で勤務を始めました。その時、出会ったのが上司のGさんです。Gさんは、一風変わった上司でした。

 

私とGさんは、神戸に向かう日の朝、広島駅で初めて出会いました。簡単に自己紹介をした後、新幹線に乗り込みました。Gさんは、疲れているから仮眠を取らせてと言って

眠りました。新神戸駅に着くと、地下鉄の駅まで向かいます。この時のGさんの足が半端なく速いのです。私は、途中Gさんを見失ってしまいます。Gさんから携帯に電話があり、居場所を伝えられます。漸くの思い出追いつくと、またもの凄いスピードで走り始め、地下鉄に乗り込みます。神戸での駅の風景は、広島では考えられないほどの混雑ぶりです。

 

職場に着き、一緒に働く人達に自己紹介をしました。その日は、資料読みをするだけで、あまりすることがありません。定時を迎え、Gさんがやって来られました。「これから神戸の街を案内するから。」その後、あちこちを案内してくれました。夕食を食べる際、「私に仕事の事を聞いても分からないから、他の人に聞いて。」私は、思わず、「えっ?上司じゃないの?」と思いましたが、半分冗談だろうと思っていました。

 

もちろんGさんも普段は仕事をされています。ただ、分からないことを聞いても他の人を紹介するだけで答えてもらえませんでした。業務終了後は、私や同僚を色々な所に案内してくれました。Gさんは、和ませ役を飼っていたものだと思われます。仕事をする上でリラックスすることや気分転換の大切さを教えてくれた上司だと思います。私は1年間の勤務を終え、Gさん達のいる会社を辞めました。

 

それから約10年後、広島市内の中心部を友人と歩いているとGさんにばったり出会いました。「元気にしてる?私も会社を辞めたよ。こうして市内をぶらぶら歩いて回っているんだ。」10年経ってもGさんの遊び心は変わってないようです。