不思議な毎日~人生迷走中?

私の人生で起こった不思議なこと~不思議・雑記

第76話 まじめ人VSあそび人

今回第76話のテーマは「まじめ人VSあそび人」です。私が11年前に通っていた福祉の専門学校では、様々な個性的な先生がいらっしゃいました。少し変わった先生の集まりだったといえます。

 

私は、38歳のときに社会福祉士の資格をとろうと思い、地元から少し離れた専門学校に通いました。その当時の担任のT先生。みるからに堅物といった感じの先生。それに対してどうみても遊び人にみえたT先生。二人は同じ苗字であるにもかかわらず、対照的な性格。同じ苗字であるがゆえにお互いをけん制しているようにみえました。

 

まじめ人のT先生。毎回一人一人名前を呼びながら出席をとります。出席の際に行うのが学生の服装チェック。服装が乱れている学生がいると怒りだすのです。服装の乱れは心の乱れ、そう思われていたのだと思います。朝のHRのとき、出席をとったにもかかわらず、1限目もその先生の授業のときには一人一人名前を呼びながら出席をとる超まじめ人。たまに冗談を言われることがあったのですが、皆がしんとしていると「今、ここ笑うところよ。あっ、そう、面白くなかった?」冗談を言ってもみんな笑おうとしないので、自分でおちをつけておられました。

 

ある時、クラスのムードメーカであったNさんが「先生、私たちと一緒にお昼ご飯を食べましょう。」と誘っても「いやいや、僕は遠慮しとくよ。」まじめ人のT先生、本心はどこかで学生と仲良くなりたいと思っているにもかかわらず、自分が空気を壊してしまうのではないかと自覚しておられました。

 

一方、遊び人にみえたT先生。ここで断っておきますが、遊び人にみえるといっても授業はいたって真剣でした。変わっていたのが、授業のときに時々やっておられた会話タイム。「はい、ペアくんで。」といって前後左右の人たちとペアを組ませます。「人はね、会話をしないと生きていけないんだ。会話ができないと何にも物事が成立しない。だからね、僕はこの時間を大切にしたいと思います。」遊び人にみえると言ってもいうことは至って真面目でした。

 

この2人の先生。偶然同じ場所に居合わせても目線すら合わせようとしません。どこかでお互いが自分のことを嫌っているのではないかということを自覚していたようです。

 

まじめ人のT先生。ある時、「うちの学校に雰囲気を壊そうとしている先生がいます。皆さんもそんな人にだまされてはいけませんよ。」と言われました。学生も口には出さなくても誰のことかは推測できたのです。

 

ある時、私は友人のS君と遊び人のT先生と3人で食事をすることにしました。実はまじめ人のT先生は、学生同士で食事に行くことを厳しく禁じておられました。ここだけの話ですが、私はS君と昼休みに時々近所の飲食店に食べに行っていました。もし、見つかったら大目玉だったのでしょう。もしかすると、まじめ人のT先生はご存知だったのかもしれず、目をつむっていたのかもしれません。ましてや教師と学生が一緒に食事を行くなんてもっての他だったのです。一応断っておきますが、社会人の専門学校です。

 

その食事の際に、遊び人にみえるT先生はこんな話をされました。「あのまじめ人のT先生はすごく仕事熱心な人だと思う。ただ、方向性を間違えているから学生に嫌われてしまう。ご本人も気付いているのだと思うけど、どうやって軌道修正したらいいのか分からないんじゃないかな。」

 

色々と楽しい出来事やしんどい出来事を経験しながら1年があっという間に経過しました。その後、この2人のT先生はともに専門学校を辞められ、大学の教員になられました。年に1回クラス会があるのですが、その時話題になるのはなぜかまじめ人のT先生のこと。「あの先生、大学で学生にいじめられてないかな?今の学生は悪い子が多いからね。」いざ卒業してみると、みんなまじめ人のT先生のことが心に引っかかっているようです。

 

ちなみに私は卒業後11年間クラス会の幹事をしていますが、今はご時世により中断中。いつ再開できるか分かりませんが、再開できたらまじめ人のT先生のことを語り合いたいと思います。