不思議な毎日~人生迷走中?

私の人生で起こった不思議なこと~不思議・雑記

第81話 和ませ上司 part2

今回のお話は、第81話「和ませ上司 part2」です。

最近、ある有名な落語家さんとご縁ができました。その方の写真を拝見すると、昔一緒に仕事をさせていただいた、上司のGさんとそっくりなのです。この上司のことは以前に「第14話 和ませ上司」で書きましたので、今回はそのお話を編集して書きたいと思います。

 

今から15年ほど前のこと、私は神戸市の企業に勤務しました。その頃はまだ「働き方改革」などといった言葉が無い時代。ようやく企業のコンプライアンス教育などが始まったばかりでした。その時、一風変わった上司のGさんと働くことになりました。Gさんとは神戸で働いたのですが、もともとは私と地元が一緒で、学校の先輩でもありました。

 

会社に入社にした最初の一週間は地元で研修を受けました。その翌週からは神戸で働くことになっていました。神戸で働くといっても週末日曜日の夕方に神戸に向かい、週末金曜日の夕方に地元に帰ってくるという、出張型の勤務。かなりハードなスケジュールで普段は朝7時から夜9時頃まで働くという勤務スタイルでした。

 

私とGさんは神戸に向かう新幹線に乗る前に地元の駅で初めて会いました。駅で会うまではお互いに会ったこともありません。事前に会社で顔写真を渡され、携帯番号を教えられ、初めて駅で顔を合わせるという、極めて荒っぽい形での初対面。正直、お互いの第一印象はあまりよくなかったような気がします。

 

初回は月曜日の朝に神戸に向かいました。Gさんは会った早々挨拶をし、新幹線に乗り込むと「私は疲れているから」といって眠りにつかれました。新幹線の中ではお互いにほとんど話もしなかったような気がします。新神戸駅に着くと、地下鉄の駅まで向かいます。このときのGさんの足が半端なく速いのです。私は途中Gさんを見失ってしまいます。するとGさんから携帯に電話があり、居場所を伝えられます。漸くの思いで追いつくと、またもの凄いスピードで走り始められました。見失うことが3回くらいあったような気がします。私はそれ以前にも神戸に来たことがあるものの、それ程詳しい訳ではなく、いつかはぐれてしまうのではないかと思いました。やっとの思いで地下鉄の駅に着き、乗り込みました。神戸の地下鉄は、私の地元では考えられないほどの混雑ぶりでした。まさに「人、人、人」といった感じでした。

 

会社に着くと、一緒に働く人たちに挨拶を済ませました。この時出会ったのが、その後親友となるHさんでした。Hさんは私と同じ県出身で島育ちの人。この当時から日本の企業では男女、年上年下関わらず、相手を「~さん」と呼ぶことが浸透してきました。

Gさんはその日仕事を終えると私の元にやって来て、「今から神戸の街を案内するから」と言われ、私を神戸観光に連れて行きました。食事をした後、港の辺りを案内されたような気がします。この時、「私に仕事のことを聞いてもよく分からないから、誰か他の人に聞いて」と言われ、私はどう返答していいか分かりませんでした。

 

もちろん、普段はGさんは普通に仕事をされていました。ただあまり仕事人間だと思われたくないようでした。水曜日は比較的仕事が早く終わるので、定時を迎えると私やHさんを連れて神戸散策に出掛けました。仕事のときの雰囲気と違い、Gさんはいきいきとしています。

 

HさんはGさんを喜ばせようとよく美味しい店を探してきました。Hさんは「そごう三宮店に美味しい店がある」と見つけてきたのですが、Gさんはあまりお気に召さない様子。Hさんはがっかりし、「あまりよくなかったですかね・・・」

 

Gさんはあくまでも課長です。もちろん天敵もいました。要領で上り詰めてきたK課長が天敵でした。K課長もG課長に嫌われていることは周知の事実でした。K課長はG課長に会うと「Gさん、そんなに私を嫌わないで下さいよ。」G課長ははっきりと「私はあんたが嫌いなんだ。」とはっきりと言っていました。ただ、G課長は社内の問題があるとK課長と協力していく、そんな優しい人でもありました。

 

かなりの過酷勤務であったため、段々と体調に異変を感じる人も出てきました。私もその例に漏れず、ついていけなくなり退職しました。Gさん、Hさんを始め数人がお別れ会を3度開いてくれました。お別れ会を3度開いてくれた職場は聞いたことがありません。

 

Gさんはその後、年賀状を下さっていましたが、2年前に途絶えました。今から5年くらい前に街の中央を歩いているとバッタリGさんに出会いました。Gさんは「こうやって週末になるとリュックを背負って街の中をぶらぶらと一人で歩くんだ。仕事は早期退職したよ。」その時、私は友人と一緒だったため、あまり話すことができませんでした。それがGさんと直接話した最後になりました。

 

Gさんはきっとどこかで元気にされていると思います。また、ばったりと東急ハンズの前辺りで出会えたらと思います。