不思議な毎日~人生迷走中?

私の人生で起こった不思議なこと~不思議・雑記

第79話 25年後の真実

今回は第79話「25年後の真実」です。

 

私の頭にふと25年前の教え子のことがよぎりました。今から25年前、私は地元から少し離れたところにある大手進学塾の分校に勤務していました。大手進学塾というと聞こえがいいかもしれませんが、分校となると個人塾を少しだけ大きくしたもので、数年後には廃校の運命にありました。

 

そのとき、出会った生徒がいがぐり頭のC君。とても勉強熱心で、講師の方から勉強をするのを少し控えるようにいうぐらい頑張り屋さんだったのです。私が受け持ったのが中学受験前の1年半。専門教科に加え、もう1教科受け持ち、計2教科受け持っていました。

 

彼の行きたい学校を聞くと、何と私の母校を志望しているとのこと。何とか応援したい気持ちが増しました。受験直前に分校の校長と彼に色々とアドバイスをしました。一番は体調管理が大事だということ。ところが、彼は受験直前に体調を崩してしまったのです。

 

彼は受験が終わり、試験結果を塾に持ってきました。私はその日出勤日ではなかったため、校長が代わりに採点。C君は私の受け持ち科目のうちの1教科が大の得意科目でしたが、その科目のできがよくなかったようです。翌日出勤してきた私に校長は「これでは厳しそうだね。多分だめだろうよ。」

 

私は全教科の問題を拝見しました。確かに彼の得意教科は駄目のようでしたが、私の受け持ちのもう1教科はよくできていました。私は「これなら何とかいけそうな気がします。校長は「いや、私は駄目だと思うけどね。」そこに割って入ってきたのが事務員さんでした。(事務員さんといってもその中では最年長の女性の方です。)「2人ともおよしなさいよ。校長、先生(私のこと)が言われるのを信じてみなさいよ。」校長も

「はい、分かりましたよ。」と渋い返事でした。

 

合格発表の当日、彼は見事に志望校に合格。晴れて私の後輩になりました。その日の夜、私の家に彼から電話がありました。(当時私はまだ携帯電話を持たず。)「先生、俺受かりましたよ。有難うございました。」「しっかり頑張ってね。また、いつか会おう。」

 

彼は翌4月から中学生になりました。入学後に1度電話がありました。「先生が昔お世話になられた先生が僕たちの学年主任の先生です。社会科のT先生。」「T先生。1年、2年の担任の先生だ。懐かしいな。」これが彼との最後の会話でした。その後、彼も私もお互いに連絡を取り合うことはありませんでした。

 

私は卒業後も時折母校を訪ねており、T先生にC君のことを聞いてみました。「おー、Cか。あいつは元気にやっとるで。勉強もようできるしな。あいつはサッカー部で。」

そこに同席していたのがサッカー部の顧問で私が学生時代に数学を習っていたD先生でした。「あいつは悪いで。確かに頭はいいけどな。」(ちなみにT先生とは私はいまだに交流があります。)

 

彼を教えてから25年経ったある日のこと、私は偶然彼の名前を目にしました。ある有名サッカーチームの事務方の部長になっており、ラジオにも出演しているようです。

 

彼がサッカーの道に進んだことは全く知りませんでした。そしてその分野の有名人になっているとは・・・彼は人懐っこい性格でしたので、適任だと思います。彼なら更なる活躍が期待できるでしょう。

 

25年も経つと人はどう変わっているか分からないものですね。おそらく私のことはとっくの昔に忘れ去られていることと思います。私の25年後はどうなっているか、少しだけ楽しみです。