不思議な毎日~人生迷走中?

私の人生で起こった不思議なこと~不思議・雑記

第29話 宙を舞う6000円

まだ昭和の時代、広島駅と宇品港を結ぶ宇品線という路線がありました。宇品線は、当初、軍事用として用いられ、戦後一般の路線となりましたが、バスや市内電車の普及により役目を終え、1966年(昭和41年)に廃線となりました。今は完全に跡はなくなっていますが、我が家の近くにはその後が残っていました。今回のお話は、その線路の近くの出来事です。

 

私が小学生の時、両親と共に宇品線の踏切後を自転車で渡ろうとしていた時のことでした。私は、向かってくる自転車に乗った中年の男性のポケットから何か紙切れのようなものがパーッと宙を舞うのを発見しました。どうもその紙切れが気になった私は紙切れを追っていきました。そしてその場で発見したものはしわくちゃに丸められたお札だったのです。

 

私は慌てて先を行く両親を呼び止め、お札を拾い、その男性を追いかけようとしました。ところが、男性の自転車のスピードは速く、遥かかなたに行っています。正直、これは追いかけるのはもう無理だと感じました。しわくちゃに丸まったお札を見ると、何と6000円もあるのです。小学生の私にとっては、大金です。

 

その日のうちに近くの交番に届けました。半年持ち主が現れないとあなたの物になります、と言われ家に帰りました。心の中では、6000円もの大金きっと持ち主が現れるだろうと思って、その後すっかり忘れていました。

 

半年が過ぎ、警察署から電話がありました。「半年前の6000円、持ち主が見つからないので取りに来てください。」結局私のものになりました。ここまでの出来事は思い出せるのですが、何に使ったのか全く思い出せません。