第5話 我が家の愛犬が導いた場所

我が家では少し変わった犬を飼っています。テリア系の猟犬です。食欲旺盛で散歩もかなり長い時間を要します。私が世話の大部分をするためか私と以心伝心のような気がします。私の行動や感情は全て見透かされているようで、大変怖い一面があります。ある意味、私のメンターのような気がします。今年の私の誕生日に愛犬ピーチ（仮名）は私をある場所へと導いてくれました。

広島市の隣町K町のS川の河原でピーチを遊ばせていました。そこは私もピーチも全く初めて行く場所です。ピーチは散歩が好きにも拘らず、今日はもういい、連れて行きたい場所があるという素振りをみせて私を引っ張って階段を登り、道路を横断し、踏切を渡りました。一体どこまで行くんだろうと思っていると、ある場所でピタッと止まりました。そこには本原内科（仮名）という比較的新しい病院がありました。珍しい苗字で聞き覚えのある名前です。もしかして、中学・高校時代の同級生の本原君（仮名）ではないかと思いました。家に帰って急いでネットで検索してみると本原君の顔写真が掲載された病院のホームページがありました。そこには、彼がなぜ医者になったのかという理由が書いてありました。彼は、長年悩んでいることがあり、そのコンプレックスに寄り添ってくれたのが、医師だったようです。自分もそのような医師になりたいと書いてありました。私は、彼が比較的おとなしく、まじめでだったことは記憶していますが、K町に住んでいることも医者になったことも知りませんでした。クラスメートであり、何度か話した記憶があるだけです。

私はピーチが縁ある場所に連れて行ったことに不思議な感覚を覚えました。私の過去を知っているのかなとも思います。本原君を見習って悩みをプラスに変えなさいという、ピーチからのメッセージが私への最高の誕生日プレゼントのような気がします。

次回第6話は「数学に対する誤解」というタイトルで書きたいと思います。数学科出身というだけで、結構誤解を受けることが多いのです。